深淵が深遠しているブログ

個人的にヘルスケア・フィットネスについて思いつく限りに語っていきます。

速筋と赤筋の種類と割合について

筋トレをすると、筋肉痛を経て超回復の過程で筋肥大を起こすことは、多くの方が知っている内容かと思います。

 筋肉には、速筋繊維と遅筋線維がありますね。

速筋繊維:短距離走・筋トレなど (短時間で大きな力を発揮

遅筋線維:マラソン・水泳など (長時間継続して使える筋肉

 

繊維が違うと、もちろん発達の方法も異なりますが、そもそも筋肉の構造はどうなっているのでしょうか。

1、構造

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○筋と筋線維(muscle fiber)
筋線維は直径 40~100μm、長さ数 cm にもなる大きな細胞
で、一つの細胞に複数の核を持つ多核細胞である。核と核の間
には横紋と呼ばれる特有の模様がみられ、外側には筋サテライト細胞と呼ばれる幹細胞の一種がくっついている。

 

筋線維は細長い細胞骨格の集合体ということです。また、多核細胞ということや、筋線維が複数の神経と繋がっていることで、最大負荷の収縮を行うことができる(←ワークアウト時ではこの神経をすべて反応させる必要があるので、複数セットを行うことで、効率的なワークアウトを狙うことができる)

サテライト細胞

 高負荷トレーニングを続けていくと、筋肉は分裂増殖する。つまり物理的に筋細胞が多くなる。

 しかし、筋細胞の核自体は分裂の判断はなく、サテライト細胞が活性化することで近傍の筋線維が分裂することになる。

 2、白筋と赤筋

○筋線維の種類
筋線維には遅筋線維(ST)と速筋線維(FT)とがある。マウスの場合、遅筋線維は TypeⅠ、速筋
線維は TypeⅡaおよび TypeⅡbに分類される(ヒトの場合は TypeⅡb ではなく TypeⅡx)。

 

筋線維には、どんな運動をするかによって発揮する種類が異なります。

速筋繊維  (白筋):短時間で大きな力を発揮できる筋肉
遅筋線維(赤筋):長時間継続して使える筋肉

日本人の平均では 白筋(速筋)と赤筋(遅筋)の割合について

白筋:55%

赤筋:45%

が平均となります。しかし遺伝情報によるばらつきが大きいものとなっています。

関連性のある遺伝子としてはACTIN3遺伝子が知られておりますが、この遺伝子が白筋と赤筋の割合を決めているわけではなく、他の筋肉・タンパク質合成遺伝子が複合的な組み合わせから割合が決まていると考えられています。

そのため、ACTIN3遺伝子において、速筋型(白筋型)であり、筋トレでの成長力(発達力)が高くとも、元の白筋の割合が低い場合があります。

 反対に遅筋型(赤筋型)の 遺伝子を持っており、筋トレの成長力(発達力)が低くとも、元の白筋の割合が高い場合もあります。

その為、ACTIN3遺伝子に白筋繊維(速筋繊維)の成長に関与しているものの、白筋と赤筋の割合に完全に相関しているわけではないので、トレーニングの方法次第で、大きな成長が見込めます。

 

筋トレなどのトレーニングで実際に筋肥大するのは、白筋(速筋)なのですが、筋線維の種類は細かく細分化されています。

 

 筋肉の種類

速筋の中にはTypeⅡaとTypeⅡbが存在しています。

 

 

○速筋 TypeⅡa 

 タイプaは速筋と遅筋の中間的な役割をしています。

収縮速度は【中間】、エネルギー源は【酸素】【グリコーゲン】【脂質】を使用している特徴があります。

瞬発筋のなかでもやや持久的な60秒ほどの運動・筋収縮の主体となるのが速筋のなかでも長瞬発筋と呼ばれる筋繊維です。収縮速度が比較的速く(Fast)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからFO筋とも呼ばれています。筋トレでは12~15回の反復回数で限界がくる中負荷中回数で鍛えます。

 

 

○速筋 TypeⅡb

 タイプbは皆さんがイメージする速筋のタイプです。

 収縮速度は【高速】、エネルギー源【グリコーゲン】という特徴があります。このタイプは瞬時に爆発的なパワーとスピードを生み出します。

10秒以内程度の瞬発的な運動・筋収縮の主体となるのが速筋のなかでも短瞬発筋と呼ばれる筋繊維です。収縮速度が速く(Fast)グリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源としているためFG筋とも呼ばれています。筋トレでは、10回以下の反復回数で限界がくる高負荷低回数で鍛えます。

 

○遅筋 TypeⅠ

タイプⅠは典型的な遅筋(赤筋)です。

ミオグロビン・チトクロームを多く含んでいるため、遅筋繊維は赤く見えます。

収縮速度は【遅い】、エネルギー源【酸素】、【脂質】という特徴があるため、内臓脂肪及び皮下脂肪を効率よく燃焼していきます。

(内臓脂肪のほうが常時体温で脂質が暖められているため、優先的に使用されていきます)

数分以上の継続的な運動・筋収縮の主体となるのが遅筋で、収縮速度が遅く(Slow)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからSO筋とも呼ばれています。筋トレでは20回以上の反復回数で限界がくる低負荷高回数で鍛えます。

 

 赤筋、速筋の簡単なまとめ

  遅筋(タイプⅠ) 速筋(タイプⅡa) 速筋(タイプb)
筋線維 赤色 桃色 白色
エネルギー源 脂質 脂質・糖質 糖質
代謝 有酸素 有酸素・無酸素 無酸素
パフォーマンス 持久力 持久力~瞬発力 瞬発力
パワー 弱い 中間 強い
収縮速度 0.1 0.05 0.025
レーニング方法 低負荷・高回数 中負荷・中回数 高負荷・低回数 

 

 

 最後に

運動の種類によって、使う筋線維は違います。同じ運動でも生まれつき速筋:遅筋の割合・バランスは決まっているので、だれでもスプリンターやトップレベルのマラソンランナーになれるとは限りません。

しかし、プロではなく、趣味やボディメイクなどの競技として頂点を目指すわけでなければ、トレーニング次第で速筋を大きくしたり、多少ではありますが筋線維を増やしたりすることも可能です。

反対に持久系のトレーニングを積めば、遅筋を増やすことも可能です。

 速筋TypeⅡaは赤筋にも白筋TypeⅡbにも機能として近づけることもできるので、努力次第でどちらにも寄せることができますが、あくまで筋線維自体が変わるわけではありません。

 

なので、努力をやめた時点で本来の筋線維に戻ることが大半のため、トレーニングを継続できるように工夫が必要です。

 

自分に合ったトレーニングで、理想的な筋トレライフを送りましょう!!